スポーツ社会専門ゼミナール
加藤敏弘
● テーマおよび内容
本ゼミナールは、政治や経済や教育の影響を受けながら発展してきた日本のスポーツに内在する諸問題から現代社会を見つめ直し、現代に生きる私たちの暮らしに密着した健康問題やコミュニティ形成や地域創成に、文化としてのスポーツがどのように寄与することができるのかをテーマに研究しています。主に海外のスポーツ活動を調査することによって、日本のスポーツ活動を見つめ直し、その特徴をとらえます。
現在は、主に海外の子どもたちの育成システムを参考にしながら地域のコミュニティ形成に果たすスポーツの役割について考察しています。一人ひとりが小さな成功体験を積み重ねていけるようなリーグ戦文化の醸成や観て応援して楽しむスポーツの醸成に取り組んでいます。e-Sportsも本格化しています。今こそ、みなさんのアイディアが日本のスポーツ界を変革させる具体的な実際の力になります。
スポーツ庁が発足し、スポーツ基本法の「する、みる、ささえる」スポーツを実現するためにさまざまな施策が講じられています。大学スポーツ振興の推進事業では、日本版NCAAが構想され、UNIVAS(一般社団法人大学スポーツ協会)が設立されました。そこではエリートスポーツばかりではなく、サークルを含めた運動部活動の発展を目指しています。本学もUNIVASに加盟し、運動部を含めたサークル活動全体の活性化を図ろうとしています。トップレベルの活動ばかりではなくグラスルーツのスポーツ活動の推進に大学が果たす役割は大きいと考えています。スポーツという1つのキーワードを通して、公共機関(国県市町村)、公益財団法人、スポーツ団体、民間企業において、地域の活性化を図ることができる人材の育成を目指します。
● 指導方針および注意事項
私はもともと教育学を学んできました。現在は、社会学をみなさんと共に学び、スポーツ社会学を追求したいと考えています。スポーツは、現代社会に多大な影響を与えていますが、残念ながら日本では本物のスポーツを人々が気軽に享受できる状況にはありません。それは、スポーツが海外から日本に入ってくる過程でさまざまな色に染められてきたからです。もちろん海外でも同様なことが起こっていますが、少なくとも運動嫌いを助長するようなスポーツ活動は本来の姿ではありません。時に日本では競技志向が批判の対象になりますが、真のアスリートが輝く裏には、想像以上の挫折の繰り返しがあります。どうか先入観を持たずに自身の過去の体験を対象化してください。その上で、国内外を問わずスポーツにかかわる全ての人々の活動とそこで構築されているシステムを学びの対象にしましょう。フィールドワーク(現地調査)や文献調査を中心に研究を進めます。
具体的には、鹿島アントラーズや水戸ホーリーホック、茨城ロボッツなどのプロスポーツチームの他、茨城県内の総合型地域スポーツクラブも対象になります。県外からいらしている方はその地域のBリーグのチームも対象にすることができます。もちろん、自分が所属していた運動部活動や地域のスクールも対象となります。運動は苦手だけどスポーツを観るのは好き、スポーツ・健康事業に興味がある、競技をやりすぎて疲れ果てたという方は、スポーツ現場を体験しながら自身の興味関心を深めて研究を進めてください。