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NBA選手等によるピックアップゲーム(8/23/1996)


 ホテルのベッドが柔らかくてどうも腰の調子が悪い。ゆうべは眠りが浅く,夜中に一度起きてしまった。時差ぼけなのか,緊張のためなのかわからないが,とにかくジム・ハリックコーチには誤解を招かないよう,出会った時のためにドレッサーの前で英語の特訓をした。

 朝のシャワーと呼吸法もどきで体調を整え,9時15分にメンズ・ジムへ向かった。Jさんの話では,NBAの選手がやってきてピックアップゲームをしているという。メンズ・ジムは,建物の真ん中の2階部分にバスケットボールコート3面余裕でとれる広さのフロアーがあり,ちょうどその真下に同じ広さの巨大なロッカー室とシャワー室がある。1階も2階もそこを中心に周囲にぐるりと廊下があり,さらにその外側にオフィスがいくつも並んでいる。したがって外から一見しただけでは,体育館だということはわからない。1階の一角がインターナショナル・スチューデント&スカラーズのオフィスになっているというわけだ。

 いつもの裏口から2階に上がると,でかいのがいるいる。見上げるような選手がコート2面を使って,ゲームをしていた。とにかくボールを持ったら1対1。完全にNBAのプレイだ。それもそのはず,そこには実際クリッパーズやレイカーズの選手が5・6人とマジックジョンソンチームの一員,ヨーロッパで活躍しているプロ選手,これからプロ契約を結ぼうとしている選手たちがいて,セレクションの場になっているのだ。なるほど,周囲にはそれらしいスカウトマンがメモを片手にゲームを見ている。目を見張るようなアーリーウープあり,ブロックショットあり,スチールありで,みんな真剣にやっていた。ところが,そんな中にもどう見ても高校生のような選手や,あまりうまくなさそうな白人の選手も混じっている。後で聞いた話だが,体育館に早く来ていればやりたい人は誰でもプレイできるらしい。こんなところがアメリカの強さの秘密だと実感した。実際,Jさんの話では,目の前でプレイしている高校生はUCLAでもスカウトしたいらしい。そういう訳で,毎朝9時から11時というのは,特別な時間として暗黙のうちにそういうレベルの人たちが集まってくるし,周囲にはサインを求める子供たちや見物人がわんさか集まっている。完全に子供扱いされるのを覚悟でいつか参加してみよう。


ジム・ハリックコーチとの出会い(8/23/1996)


 Jさんと一緒にしばらくプレイを見てから,ジム・ハリックコーチに会うためにアスレチック・デパートメントのバスケットボール・オフィスへ向かった。ちょうどコーチは,スタッフとミーティングの最中であった。僕らはしばらく待っていたら,そこへUCLAの卒業生でさっき体育館でプレイしていた中国人の大きな選手がやってきた。今年,どこかのチームと契約を結ぶらしく,ジム・ハリックコーチに相談にきたらしい。彼と少し話をしているとJさんのポケベルが鳴り,Jさんはいそいそと仕事に戻ってしまった。するとまもなく秘書の女性に招かれた。彼女は僕のことを簡単にジム・ハリックコーチに紹介すると,彼はとても親しみのある笑顔で僕を迎え,そして握手をしたままゆっくりと語りかけてきた。昨夜,特訓したとはいえ完全に向こうのペースに巻き込まれてしまったので,僕はほとんどうなずくばかりで,考えていたことの半分も話ができなかった。とりあえず,日本から持ってきたおみやげを渡し,5分ほどで引き上げた。ジム・ハリックコーチは,これから日本へ向かうとのこと。M電機が招いているようで,1週間ほど行くらしい。これから日本へ行くのに,センスのない扇子をおみやげにして失敗したと思った。コーチは,秘書に僕のことを面倒見てやってくれ,と言っていたようだが,秘書の女性は,あまり良い顔はしていなかったように思う。やはり,先日Dさんにとんちんかんなことをしゃべったのが耳に入っているらしい。些細なことから誤解を招くし,言葉が通じないとますます印象が悪いのだろう。どうしても英語がしゃべれるようにならなきゃいけない。


レクリエーション・バスケットボール(8/24/1996)


 今日は,土曜日で午後になったらオフィスの窓口も全部しまってしまうので,バスケットでもやろうかと思いメンズ・ジムへ行った。普通ならピックアップゲームができるはずだが,その日に限ってどこかの団体がいくつかのチームを作ってレフリーを雇って正式のゲームをやっていたので,プレイすることはできなかった。プレイのレベルは低いが,なるほどこうやってみんなで楽しんでいるのかとやはり日本との違いを感じた。


ウッデン・センター手続き(8/26/1996)


 インターナショナル・スチューデント&スカラーズのオフィスで、土・日はプレイができなかった旨を告げると,メンズ・ジムだけではなくウッデン・センターでもピックアップゲームができるとのこと。ただし,レクリエーションカードを作らなければならないらしい。さっそくウッデン・センターへ向かった。

 外から見たときには図書館か資料館かと思っていたが,中に入るととんでもない。総合トレーニングセンターであった。バスケットボールコート3面がとれるコリンズ・コート,バレーボールコート2面がとれるパーディージム,ヤーテス器械体操場,ウェイト・トレーニングルーム,フィットネス&ダンススタジオ,ラケットボールコート,スカッシュコートなどが1つの建物の中に収まっている。それぞれに観客席もついているのでいかに巨大かがわかる。2階に上がって「バスケットがやりたい」といって書類を見せるとさっそくその場で写真をとってIDカードを作ってくれた。年間使用料120ドル。もちろんこのカードがあれば他のスポーツ施設もすべて利用できるらしい。この建物を取材するだけでもしばらく時間がかかりそうだと思った。