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マジック・ジョンソン登場(9/13/1996)


 昨日,マジック・ジョンソンが来るかもしれないというM君からの情報を信じて,10時過ぎにまずメンズ・ジムへ向かった。フロアーを見渡すといつものように背の高い連中がピックアップ・ゲームをしている。いたいた,マジックがいつもの顔ぶれに混じってプレイしていた。心なしか脚が細くなっているように見えたが,とにかく目の前でプレイしているというそれだけで十分であった。周囲にはいつもよりたくさんのギャラリーがいる。マジックを少しでも近くから見たい一心でコートのすぐ脇まで近づいてしばらく見ていた。Jさんが来てるのに気づき、「マジックと一緒に写真を撮りたいのだが・・」と言うと,「今、彼は練習に来ている時だからやめた方がよい」とのこと。なるほど、今はプライベートな時間なのだ。いつか話をしてあげると言うので,そのときを楽しみにしよう。ピックアップゲームはマジックを中心に動いていた。マジックはあらゆるプレイに対して何かしら口を出していた。その内容はよく理解できなかったが、とにかく何かを意図してプレイすることを訴えていたように思う。マジックは,10時45分くらいになるとすっと何気なく引き揚げていった。


重たい雰囲気(9/13/1996)


 午後,ランニング・トレーニングを見学に行ったが,すでに終わっていた。バスケットボール・オフィスでは,ジム・ハリックコーチを始めスタッフが深刻な面もちで何か話し合っている。アシスタントのJコーチに,ジム・ハリックコーチとちょっと話がしたいのだが?と聞いてみたが,今は頭の中がいっぱいだから止めた方がよいとのこと。シーズン前のリクルートの時期だけにかなり気苦労が耐えない様子だ。


自主練習(9/13/1996)


 夕方の「イングリッシュ・イン・アクション(注)まで時間があったので,M君にUCLAのゲーム日程を見せてあげようと再びメンズ・ジムに向かっていると,アシスタントのJコーチが着替えてメンズ・ジムで練習だとのこと。僕はてっきりピックアップゲームを楽しむのかと思ったら,なんと個人練習のコーチに出向いているのだった。選手はどう見ても学生には見えないので,たぶん卒業生かプロだろう。2m以上のサウスポーでローポストからのジャンプフックを練習していた。Jコーチは,本当に細かいところまでアドバイスをし,フリースローのインターバルを入れて,次から次へと選手にいくつものドリルを指示していた。特に感心したことは,選手もコーチもゲームのある場面を想定し,イメージを膨らませ,完全にその世界に入っていることだ。細かい注意点や要求されている動きは,日本でも見ることはできるが,これほどまでにシチュエーションを大事にしている練習は見たことがない。選手も自分でアイデアを出すし,コーチはみごとにそれに応えたドリルを展開していた。

 ただ,一つだけボールをもらった時の手首の角度が僕は気になった。彼は手が大きいので十分ボールをつかめるが,ボールをもらった時に手首が返っていないので,ボールの中心をとらえることができず,どうしても一度ボールをお腹のあたりまでおろしてからシュート体勢に入るのだ。コーチもボールが降りてしまうことについては指摘していたが,その原因がボールをキャッチした時の手首の返りにあるとは思っていないようだ。そのことを話そうとも思ったが,出しゃばってもよくないと思い,機会があったら話してみることにした。

 それにしても,自主練習のためにコーチを呼んで(もしかしたら,雇っているのかもしれない)いるのかと思うと,日本との違いを見せつけられた感じがした。まず,日本では選手がなかなか自主練習をしない。仮に,コーチが自主練習に来たら,選手はやらされていると感じてもはや自主練習ではなくなってしまうだろう。常にコーチと選手の関係が「やらせる」「やらされる」という関係でしか成り立たないのである。ところが,ここでは選手が自分の練習のためにコーチを呼んでいて,コーチもその要求に応えるべく,遠慮なくハードな課題を次からつぎへと要求するのである。一見すると日本と全く変わらない光景だが,コーチと選手の関係が質的に全く異なっているのを目の当たりにした気がした。


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