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パック10調査委員会(10/15/1996火)


 午前中,ひたすらジム・ハリックコーチ関連のニュースをチェックした。あまりよく理解できなかったが,どうやらパック10に調査委員会が出来て,新聞報道の内容が事実であるのかどうか?また,その行動がNCAAのルール違反になるのかどうか?を調査しているらしい。


シーズン開幕:レギュラー・プラクティス初日(10/15/1996火)


 今日からシーズン開幕である。いわゆるボールを使ったレギュラー・プラクティスが始まる。3時からということなので、2時30分にはポーリー・パビリオンへ向かった。やはり早く着いてよかった。2時45分には選手もコーチもフロアーに出てきていたのである。選手は何と16人でそのうちの一人は見学であった。今まで見たことのない選手も加わっている。どうやらこれから徐々に人数が絞られていくのだろう。いつものことだが,ウォーミング・アップはストレングス・コーチの役目である。本当にスタッフの役割分担が明確である。日本で真似をしようとしてもとてもこれだけのスタッフを準備することはできないだろう。

 時間通り寸分違わず午後3時に練習が始まった。まず,ジム・ハリックコーチはフリースローのやりかたを説明し,実際に自分で何本もシュートを決めて見せた。そして,全部で8個あるリングの全てに2人づつ別れてフリースローが始まった。どうやらメインのコートにマネージャーがテープを貼る時間を作ったようだが,それにしても一番最初にフリースローを持ってくるあたりさすがだ。およそ6分ほどフリースローをした後,笛の合図で集合。マネージャーがコート上に貼ったテープで「レッド・ゾーン」というゴール下の地域の説明をした。「この地域では簡単にダンクもレイアップシュートも打たれてはいけない」というものだった。ジム・ハリックコーチの説明は,本当にわかりやすくまるで僕のためにゆっくりとわかりやすい英語で話しをしているかのようであった。その後,センター&フォワードとガードに別れてブレイク・ダウンドリルが始まった。5分間であるが次々といろんなシュートをやらせていた。そして,すぐにディフェンスの説明。ミドルラインから1歩でレッドゾーンの端までヘルプに出ていくことを強調し,ポストマンに対するディフェンスドリルを2分。今度はすぐに伝統のUCLAハイポストオフェンスの核になる動きを7分間次々とやらせ,突然黒板の前に集合。練習が始まる前にあらかじめ書いてあった内容をゆっくりとわかりやすく選手たちに説明する。内容は技術や戦術のことではなく「プライドを持て」というものであった。7分ほどの説明であったが,本当に短い時間に感じた。その後すぐにディフェンスのフットワークの練習に入る。これは今までボールを使わないでやっていたフットワークと同様の内容であったが,ボールを使えるのでいつもより迫力があった。その後,すぐに2対1のパスカットを3分。そしてすぐにフランカーという速攻の練習が6分。日本で言う3メンの片道である。さらに2人,3人のリバウンド争いが3分行われ,ブロックアウトの練習が2分。続いてリバウンドからアウトレット・パスのドリルを2分。とにかく次から次へと内容が切り替わる。1対1のディフェンスの確認をしてからパスを受けての1対1が5分。そしてクイック・レストでやっと一息である。しかし,これも本当に一息で1分もたたないうちに,UCLAハイポストオフェンスの動きでセーフティを忘れないようにとの注意の後,すぐに3対2から3対3に展開されるフルコートの練習を5分行い,今度はハーフコートの4対4のディフェンスの練習。そして,リバウンドからファストブレイクの動きの確認をしてから,5対5のスクリメージになった。スクリメージは20分ほど続いたが,一人の老人がそのスタッツをつけていた。おそらく,このデータが選手選考の鍵を握っているのだろう。最後にフリースローをしてコーチ陣の話しがあり,5時30分ぴったりに終了。まさに,正味2時間30分のハードな練習であった。オフェンスの練習とディフェンスも練習があるまとまりをもって交互に展開されていた。一つひとつのドリルは本当に短いけれども,全体としてゲームの様々な場面を想定した練習が全てこの2時間30分に凝縮されている感じである。この練習が今シーズンの全てを物語っているのだろう。


オープン・トライアウト(10/15/1996火)


 しばらくしたら,数人の学生がやってきて身体を動かしている。中にはウッデン・センターで一緒にプレイしたことのある学生もいた。そして,5時40分からオープン・トライアウトが始まった。これは,一般の学生からチームのメンバーを選考しようというもので,UCLAの学生であれば誰にでもチャンスがある。ちょうど10人で,2チームに別れてゲームが行われた。その様子をコーチ陣全員が見守っている。正直なところ,僕の目から見てもそんなに優れた感じの選手はいなかった。予想どおり,ジム・ハリックコーチは誰もいないなと言う感じでアシスタント・コーチたちと話しをしていた。そして,アシスタントコーチが全員不合格であることを学生たちに告げると,すぐに学生たちは帰っていった。しかし,その中の一人が何やらジム・ハリックコーチに話しをしている。どうやら自分をアピールしているようだ。どういう話しの内容だったのかは分からないが,とにかく彼は一緒に練習をすることを許されたようである。マネージャーに招かれ,ロッカールームへ入っていった。しばらくするとうれしそうに大きな練習用の短パンをはいて再びフロアーに出て来て他の選手たちと話しをしていた。これで総勢17人になった。