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プロの仕事ぶり(10/17/1996木)


 午前中は記録の整理。午後練習へ。この生活パターンが定着してきた。練習は何と16人になっていた。つまり,一人はたったの2回の練習で脱落したのである。確かに他のメンバーに比べるとミスが目立っていた。厳しい。この厳しさが練習に緊張感を生み出すのだろう。

 同じようなドリルでも,課題が微妙に変化していて,日々少しずつ変化している。また,今日の黒板での話しもたったの2分であるが,スポーツマンとして重要なことやゲームで忘れてならないことが中心で,激しい練習の合間に考える時間を生み出している。練習がだらだらとならないようにちょっとしたアクセントとしてデザインされているようだ。当たり前のことやわかっているつもりのことでも,こうして短い時間にエッセンスだけを伝えることで,いつのまにか徹底されるのだろう。こうした方法論は本当に勉強になる。

 だいぶ選手の特長も分かってきた。細かい部分で気になることが出てきたが,コーチは一人ひとりの悪い部分を指摘しようとはしない。常に,良いところを誉め,バスケットボールはこうするべきだという話し方をする。一人ひとりの選手のプライドを傷つけないように配慮しながら,良いところも悪いところも全て把握した上で長い目で見ているようだ。日本ではどうしても細かい部分にこだわってしまい,その選手が持っている大事な部分,つまりプライドを失わせているのかもしれない。一見すると選手たちのわがままを許してしまっているようにも見えるが,あくまでコーチの手のひらの上での話しである。このゆとりというか奥行きは,なかなか真似のできることではない。

 練習の外では新聞に叩かれて,落ち着かない状態であるだろうに,ジム・ハリックコーチは本当にプロなんだと思う。そんなことは微塵も感じさせない練習への取り組み方である。新聞にいろいろと記事が掲載されているが,むしろ僕の方が気になってしまっているぐらいである。