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エキサイトの原点(10/18/1996金)


 午後になって練習に出かけた。練習時間は2時間30分であるが,その前後を入れると結局4時間,みっちりと練習を見てノートをつけていることになる。最近気がついたことだが,練習は誰でも見ることができるようだ。ただし,いずれも2階席からで,僕のようにフロアーの上で練習を見ている人はいない。時々,高校のコーチやOBだと思われる人が練習を見に来るが,そういう時はコートサイドに椅子が用意され,練習の間中そこに座って見学している。僕の場合は,誰に許可をもらったわけでもないが,ほとんどコーチと同じように練習中コートの周りをずっと動き回ってノートを付けている。そんな分けでコーチの友人たちは,練習を見に来ると必ずあいつは何者だ?と尋ねている様子。ジム・ハリックコーチも僕のそうした行動を容認してくれているようだ。選手たちもだんだん僕に興味を示しはじめ,少しずついろんなことを尋ねてくるようになった。

 午後6時30分に練習が終わり,それからピックアップゲームをやる。ここでも,だんだん知り合いが増えてきて,だいぶプレイにも慣れてきた。とにかくこちらのバスケットボールを知る上でこのピックアップゲームを欠くことは出来ない。一人ひとりが本当に自分を主張し,負けることを極端に嫌う。練習を見学することもずいぶん勉強になっているが,このピックアップゲームを通して練習中の選手たちの行動の原点を感じられるようになった。選手たちは4対4や5対5になったとたんに目の色が変わる。場合によっては本当に収拾がつかなくなる。こうした選手たちのエキサイティングで過激な行動もこのピックアップゲームを経験していなかったら,おそらく理解できなかっただろう。ジム・ハリックコーチはそんな時,低い声で「クワイエット!」という。事態の収拾の仕方も年季が入っていて,それぞれの選手のプライドを傷つけないような配慮が感じられる。