お披露目紅白試合(11/7/1996木)
午前中,留守番をするはずであったが,妻が子供たちを学校へ送った帰りに買ってきてくれた「ロサンゼルス・タイムス」の記事の多さを見て,妻にアダルトスクールを休んでもらうように頼んだ。アダルトスクールでは学生の出席率がそのまま先生の評価につながり,サラリーに影響するらしい。先生に申し訳ないので,事情を説明して休ませてもらうことにした。先生もニュースを見て心配してくれていたらしい。午前中は妻と2人で新聞の記事を読みふけった。
12時過ぎに昼食をとってから大学へ向かった。バスケットボール・オフィスへ向かったがSコーチの部屋(つい一昨日までジム・ハリックコーチの部屋)を外から見ると電気もついていない。なんとなく足が向かないのでJさんのところへ向かった。そこにはH君がいた。久しぶりに話をした。かれは僕を食事に誘おうと先週電話をくれたらしい。Jさんはダウンタウンに行っているとのこと。
しかたがないのでポーリー・パビリオンで学内新聞を読むことにした。2時30分からシューティングの予定なので2時頃になると選手たちもみんな顔を出し始めた。BM選手とSF選手が最初にやってきてシューティングを始めたので「僕は何かをしてあげたいが,僕にはリバウンドぐらいしかできない。とにかく,勝ってもらいたい。」と伝えリバウンドをしていた。MコーチとJコーチがやってきた。Mコーチは今日の夜に行われる紅白試合のチーム表を持っていて,僕に見せてくれた。僕は「この前の練習の時にJコーチに1勝している。あのときの駆け引きはおもしろかった,と伝えた。」Mコーチも楽しそうに話をしていた。その後,JM選手がずっと僕がリバウンドをしている側でシューティングを始め,なぜか彼一人になった。彼は調子があまりよくなさそうだったが,僕の返球に何かを感じたらしく真剣にシューティングをしてくれた。僕はやっぱりコートにいるのがいい。ここにいるのが一番落ち着く。
SコーチとCO選手が背広姿で2時20分頃に顔を出した。どこかへ出かけていたらしい。結局2時30分になっても練習は始まらず,2時50分ぐらいになったら全員ロッカールームへ入っていってミーティングとなった。
ギリシャのコーチをしたことがあるというJさんがSコーチに会いに来た。そして,SコーチもMコーチも小さい頃からよく知っていると言っていた。彼はサマーキャンプで日本のチームを見たらしく,「日本はボールをよく回してシュートを打つ。日本のバスケットはすばらしい。と言っていた。」お母さんが病気でギリシャには帰らず,エージェントの資格を持っているので来年からエージェントをするつもりらしい。その他に韓国から来たコーチを在米韓国人のJさんが連れてきていた。彼らもSコーチに会いに来たらしい。何と年輩のJさんは,日本語が少し話せる。日本と韓国の関係を想起させられた。3時15分に選手たちが出てきて練習が始まった。
どうやら今日の夜の試合のリハーサルをしているようだ。入場の仕方からランニングシュートに入るところ,ディフェンスのドリルの紹介の仕方などの打ち合わせを兼ねた軽い練習であった。そして,MコーチとJコーチのチームに分かれてチーム毎にオフェンスの動きを確認していた。15時40分にはハドルをして終了。選手たちは終わるとすぐにロッカー室へ戻り着替えて帰っていった。
僕はSコーチがJさんと韓国の2人の人と話終わるのを待った。在米韓国人の人は日本語が話せ,Sコーチと一緒に僕のところへ来て,僕のことをSコーチに尋ねた。するとSコーチは僕の肩に手をかけて「ナイス・ガイだ」と僕のことを持ち上げていた。その後,僕は帰りを急ぐSコーチに「あなたを助けたいのだが,僕には何もできない。ただ,勝つことを祈っている。」と伝えた。彼は「ありがとう。」と答えた。僕はさらに「ここ以外にぼくのいるところはない。ここにいてもいいか?」と尋ねるとうなずきながら帰っていった。
夜の試合まで時間があるので,どうしたものかと思ったが,ひさしぶりにピックアップゲームをしてみることにした。メンズ・ジムで着替え,捻挫した足首にテーピングを巻きウッデン・センターへ向かった。一番奥のコートはレッスンで使用しており2面しか使えなかった。さらにどこかのサークルが男女ミックスでバスケットを楽しむためにコート1面を借りたらしく,結局ピックアップゲームは1面になってしまった。僕はなかなかピックアップされず,さらに順番が入り乱れたので結局4試合待ってからやっとゲームに入った。ところがゲームが始まって4往復ぐらいしたところで放送が入り,バレーの時間になってしまった。汗もかかなかったので,その後24分間ステップマシンで汗を流し,腹筋をした。
夜7時30分からゲームが開始だが,6時40分には続々と人が集まっていた。僕はチケットをどこで手に入れたらよいのか迷っていたが,チケット売場ではなくポーリー・パビリオンの入り口の脇にあるウィルコールの窓口にパスポートを見せてチケットをもらい会場へはいることができた。
試合の前に選手たちがウォーミングアップをしていた。僕はC君とA君のところへ行き「いつもは近くで見ているのに,今日は遠いなぁ」と告げた。C君は「昨夜ジム・ハリックコーチに僕が心配していることを伝えた」とのこと。僕は,「これは君たち自身試すいいチャンスだ。君らは勝たなきゃいけない。」と伝えた。
ゲームは本当におもしろくなかった。とても大学生の試合とは思えないぐらいひどい内容だった。練習の時はあれほどシステマティックに動いているのに,試合になるとまったくノーコントロールである。
ただ1つだけ良いことがあった。JM選手がハーフタイムになってロッカールームへ引き上げる直前にSF選手を抱きかかえるようにしてシュートが入ったことを誉めていた。これはいい材料だと思う。確かに紅白戦だからなれ合いになるのもわかるが,それにしてもひどいゲームだった。99−88でJコーチチームの勝ちだったが,いったいどこがディフェンスのチームなんだろうと言わざるを得ない。
そんなゲームでもこちらの人は楽しみ方を心得ていて,チアーリーダーたちもうまく観客を巻き込んで盛り上げていた。たかだか紅白戦でこれだけ人が集まるのだから,たいしたものである。