スラックス姿での1on1(11/18/1996月)
練習を見ている時,僕は何となく気分がすっきりしていたが,Sコーチは何となく落ち着かない様子でいつものような声も出ていなかった。練習の最初にいつもアシスタントコーチがリードして行うドリルがあるが,その間,あまりにもSコーチの背中が小さく見えたので思わずSコーチに話しかけてしまった。以前から話したいと思っていたことだが,「僕はここへどうやって優勝するのかを勉強に来ているんだ。あなたたちはそれが出来ると思っている。」という旨である。どうしても公式戦が始まる前に,僕の気持ちを伝えておかなくてはいけないような気がしたのである。心なしかSコーチの声が出てきたような気がするが,話して良かったのかどうかは微妙なところである。
練習終了後,MコーチとVM選手とマネージャーのD君が3人で1対1をやっていた。その様子をしばらく見ているとD君が疲れてしまって,僕と交替した。僕はスラックスのまま1対1に参加したが,昼間走っていたおかげで調子がよく,勝ってしまった。VM選手は「誰かこの男を止めろ!」と言っていたし,Mコーチも身体を寄せてプレッシャーをかけてきたが,たまたまシュートがよく入った。最初にVM選手が勝って,次に僕が勝ったので,Mコーチは納まらない。僕が勝った後で,もう一度やろうと言ってすごい勢いでプレイし,今度はMコーチが勝った。本当にみんな負けず嫌いである。この1対1でMコーチもVM選手も僕のレベルを感じた模様。言葉は通じなくてもこうして1対1をやると全てを分かり合えるから不思議である。
Sコーチは大勢の取材陣に囲まれて,いつまでもいつまでも取材に応じていた。相当プレッシャーがかかっている様子であった。
女子チームの練習試合(11/19/1996火)
午後,練習の最初のウォーミング・アップの時にキャプテンのCO選手が僕の近くで新しいバスケットシューズに紐を通していた。昨日Sコーチに話をしたのと同じことを彼に伝えておいた。例の事件以降どうしてもどの程度の距離を保っていたらよいか計りかねていたが,一応コーチとキャプテンに僕の気持ちを伝えておいた方がよいと思ったからである。CO選手はどちらかというとはにかみやなので,今までほとんど話をしたことがなかった。僕がいったい何しに来ているのか不思議がっているようでもあったので,話をして良かったように思う。
練習終了後,ウッデン・センターのステップマシンをやった。これは結構良い運動になる。ピックアップゲームをやろうと思ったが,大勢人がいたので帰ることにした。しかし,ポーリー・パビリオンの前を通るとちょうどUCLAの女子バスケットボールの練習試合(デンマーク戦)が始まろうとしていた。そこで家に電話をし,女子戦をちょっと見てみることにした。女子の試合は,5ドルであった。男子のドイツのナショナルチームとの試合が19ドルだったのでそれに比べると安い。中へ入ってみると男子の時とは違って閑散としていて,観客は全部で150人ほどであった。何しろ12000人入るアリーナである。本当に閑散とした雰囲気であったが,それでもちゃんとブラスバンド40人,チアーリーダー12人,マスコット2人がいるのだからたいしたものである。
デンマークのチームはシュートが下手で身体もあまり出来ていなかった。こんなチームでもこうして試合をコーディネイトできるのだから日本のチームもどんどんこうした遠征ができるようにする必要があると思う。前半41−28でUCLAがリード。あまりにも一方的な試合だったので,前半だけ見て帰宅した。