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プレイヤーとコーチの関係(11/22/1996金)


 練習後に身体を動かすと,夕食が遅くなってしまうので,早めに大学へ行くことにした。ところが,昨日のようにちょうどその時にまた雨が降ってきた。しかたがないので車で大学へ向かい,昨日と同じ路上へ駐車した。ウッデン・センターでステップマシンを使い24分こいだが最後の3分はなぜか急に重たくなり大変であった。

 練習ではSコーチになってから日本でもおなじみの5メンを行うようになった。しかし,よく見ていると本当に選手たちが勝手にやっている。どちらにパスをして始めようが,何回パスをしようが自由である。場合によっては走るコースを間違えて1回しかボールを触らない選手もいれば,行きも帰りも自分でシュートする選手もいる。日本にいたときは,とにかく最初のパスの方向も決まっていたし,パスの回数も決まっていた。とにかく練習そのものが整然と美しくなるように要求された。しかし,5メンの本当の目的はコートを往復する習慣を身につけることである。その意味では,彼らのように細かいことにあまりこだわらず走っている5人がそれぞれやりたいようにやった方が,かえって変化が生まれ,相手の動きに合わせる能力も身に付くように思う。日本は形式にこだわりすぎで本質を見失っているかも知れない。

 練習中にCD選手が「コーチ・M!」と叫んだ。するとMコーチは走ってCD選手のところへいく。そして何やらアドバイスをしている。日本では,選手がコーチを呼びつけてアドバイスを求めるケースはまず見たことがない。選手がコーチにお話をお伺いするのが常である。仮に選手がアドバイスを求めて呼びつけたとしてもコーチが選手のところへ駆け寄ってアドバイスをするということはまずないだろう。こうしたところにこちらの選手とコーチが共同作業をしているのだという雰囲気が感じられた。

 Sコーチは相変わらず,練習中にプレイを止め話しをする。とにかく話しが長い。どうやら彼はオフェンスでバランスと良いスクリーンを求めているようだ。したがって,1対1をやらせない。バランスを保ちつつパスを回し,スクリーンを使ってノーマークでシュートを打つことを求めている。しかし,一度に何もかも求めすぎて1プレイ毎に中断してしまうので,選手たちが徐々にやる気をなくしている。ついに,JH選手は,ディフェンスをやめてコートサイドに寝転がってしまった。それでもコーチ陣は何も言わない。練習が終わるとみんな蜘蛛の子を散らすようにコートから離れていったが,CD選手だけが一人で30分シューティングをしていた。

 僕もあまりにも身体が冷えてきたので,シューティングをしていたら,A君が「HORSE」をやろうと言ってきた。僕は調子が良く,最初のゲームは3ポイントラインの1.5mぐらい外側から連続8本シュートを決めて勝った。2ゲーム目もトップの3ポイントラインの1.5mぐらい外側を中心にシュートを決め,勝った。3ゲーム目は競り合ったが結局,勝った。するとA君は11点の1対1をやろうと言う。そこで1対1をやり始めた。3対1でリードしていた時A君がゴール下へ攻め込んでバックシュートをするのかと思ったら,その状態から後ろへ跳んでゴールを決めた。ところがその瞬間大声をあげ,足を引きずっている。左膝を痛めた模様。かなり痛そうにしていた。ボールを膝の下に入れ,痛みが和らぐのを待って緩みを確認したが,あまりよくわからなかった。膝が伸ばせないらしい。歩けないというので車をポーリー・パビリオンの搬入口へ回し,A君とマネージャーを乗せて,まず,トレーナールームへ向かった。ところがすでにSさんは帰宅してしまっていたので,A君のアパートへ送った。申し訳ないことをした。