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微妙な立場(12/1/1996日)


・近況報告(手紙より抜粋)

 僕は,こちらで悠々と暮らすつもりだったのですが,次々といろんなことが起こるのでとても悠々とは過ごせません。一通りの苦労は過ぎ去ったのですが,何と11月6日にUCLAのヘッドコーチ(ジム・ハリックコーチ)が新人獲得をめぐってのトラブルで大学から歴史に残る解任劇の末,辞めさせられてしまい,僕は非常に微妙な立場にたたされていました。今は一応落ち着きましたが,何しろ僕を招いてくれた方が大学からいなくなってしまったので大変です。さらに,今までアシスタントだった人が臨時のヘッドコーチとしてシーズンがスタートしましたが,初の公式戦で延長の末1点差で負けてしまったので,さらにチーム事情が悪くなり,僕は本当にただただ様子を見守っているだけです。

 考え方ですが,僕にとっては,かえってこちらの生々しい現実を見ることが出来て勉強になっているとも言えます。しかし,もし僕が臨時のヘッドコーチだったらやはりどこの馬の骨だかわからない奴の面倒まで見れないというのが正直なところでしょう。そこのところが痛いほどよくわかるだけに結構神経を使っています。ですから,今まで苦労して築き上げてきた人間関係も微妙です。なんだかこちらに来てかえって気を使わなければならなくなってしまいました。文化の違いや言葉のハンデがある分,日本よりやりずらいというのが率直なところです。

 まあ,それでも日本にいたときのように期限付きの雑用がない分,楽だと思います。UCLAの試合は全部生で見ていますし,テレビでもNBAは見ています。ただ,今のところちょっとNBA観戦をゆっくり楽しむ余裕はありません。


焦点が定まらない練習(12/2/1996月)


 今日からUCLAの練習が通常通り始まる。久しぶりに見る練習であった。練習が始まる前に,Jコーチがレギュラー以外の選手にボックス・オフェンスを教えていた。おそらく明日の対戦相手が用いているのだろう。案の定練習の最後に彼らにその動きをさせて,ディフェンスの確認をしていた。ただ,結局ラインルールに乗っ取ってディフェンスをすれば大丈夫だという結論になってしまう。何も情報がないよりは良いが,もう少しどこのパスをさせないようにしようとか,このエリアからのシュートはあきらめようとか,ポイントがあってもよさそうな感じがする。練習の最後にスクリメージがなかったせいか,何だか間延びした練習になってしまった。


vsカリフォルニア・ステイト・ノースリッジ(12/3/1996火)


 今日は,カリフォルニア・ステイト・ノースリッジ大学との試合である。夜7時からであるが,2時からシューティングがあるのでそれに向かい,練習後ウッデンセンターでピックアップゲームをしてから,一家揃って試合観戦へ向かった。

 僕は一人だけ1階席だが,家族は3階席の一番後ろであった。一般に購入するとどうしてもこういう席になってしまう。長男はじっと試合を観戦していたらしいが,娘たちは言うことを聞かず,おまけに赤ん坊が泣き出したりするので,ずいぶん大変な試合観戦になってしまったらしい。

 試合は,なぜかいつものスターティングメンバーから始まらず,出だしにリードされてしまった。全体としてちぐはぐな感じが否めない。誰が見ても相手の方が弱いのだが,UCLAのまとまりが感じられず,歯痒い感じの試合であった。もちろん最終的には勝ったのだが,内容的にはずいぶんと問題を残した感じである。ただし,相手がゾーンになったときにCO選手の3ポイントシュートが決まったことは,不調で悩んでいる彼にとって非常に意味のある1本になるだろう。