カンサス大戦を前にして(12/6/1996金)
朝9時にトレーニングルームへ向かったがカンサス大の選手は到着が遅れていた。MさんとM君もやってきてカンサス大の選手たちの到着を待った。30分ほど遅れて選手たちが到着すると,カンサス大の選手たちは誰に指示されることもなく黙々と自分のやるべきことに取り組み始めた。とにかくその様子から「かなり鍛えられている」という感じがした。UCLAの選手の中で自分のメニューを自分で理解して取り組んでいるのはごくわずかである。ところがカンサス大の選手たちは一人残らずやるべきことを心得ている様子で,勝手の違うトレーニングルームでも30分足らずで集中的に全員が必要なトレーニングを終えてしまった。M君もさすがに試合の前日にウェイトトレーニングをさせたことはないらしく,試合前日にウェイトトレーニングをやること自体驚いていたが,その内容を見てさらに驚いていた。Yコーチによるとこの後すぐにカンサス大はポーリーで練習をやるとのこと。それを見たらよいと言うのでその通りポーリーの観客席でカンサス大の練習を見学した。本来なら一応UCLAの関係者ということでシャットアウトされるところだろうが,カンサス大はそんなことを気にする様子は全くなかった。ポーリーにくるとすぐにガード陣は階段の上り下りをし,フォワード,センター陣はヘビーボールを使ってボールを胸の位置から下ろさないようにキープしながらターンしてダンクシュートを何度も繰り返していた。日本の選手でこんなことができる人はほとんどいないだろう。とにかく全米ランキングNo.1のチームの風格が漂っていた。正直なところカンサス大の練習を見ていてUCLAはかなわないと感じた。練習の内容はそんなにかわらないが,練習に取り組む選手たちの姿勢が全く異なっているのである。能力のある選手が集まっており,しかもその選手たちがひたむきに練習に取り組んでいる姿は,本当に感動的ですらあった。MさんもM君も一目見ただけでUCLAとカンサス大の違いを感じた様子であった。
カンサス大の練習を見学した後,Mさんがレイカーズの試合を見たいというのでPトラベルのMさんへ電話をし,何とかチケットを都合してもらった。昼食にハンバーガーを食べてからUCLAの練習を見学したが,カンサス大との違いがあまりにも鮮明で,M君もMさんも眠そうに見ていた。
練習が終了するとすぐにホテルへ帰り,タクシーを呼んでもらってMさんをレイカーズ観戦ツアーへ送り出した。センチェリー・プラザ・ホテルまで行けばバスでピックアップしてフォーラムまで連れていってくれるのである。M君は知人と夕食の約束があるとのことであった。
茨城大学の魅力(手紙より抜粋)
僕がお世話になっていたヘッドコーチの解任事件から1ヶ月が経ちました。明日全米No.1にランキングされているカンサス大との試合があります。この試合が今後のUCLAのチームの活動に与える影響は計り知れないものがあります。
とにかくここはシビアな世界です。一見すると非常に恵まれた環境でバスケットをしていますが,その裏側に本当に厳しくて過酷な部分がついて回っています。僕はそのかなりシビアな状況に立たされているチームについているので,つくづく茨城大学は良いところだと思っています。茨城大学でもかなり苦労していましたが,結局バスケットで負けても職を失うわけではありませんから,こちらの比ではありません。日本とアメリカを単純に比べること自体間違っているのでしょうが,つくづく茨城大学のバスケットボール部はいろんな意味で良い活動をしていると思います。