史上最悪の得失点差他(1/10/1997金)
夕方息子のバスケットボールの練習のためにウエストウッドパークの体育館へ向かった。今日はチームの8人全員が勢揃いしていた。コーチから紙を渡されたが,そこにはスナック当番(試合後にみんなであつまって食べる簡単なお菓子を各家庭で持ち回る)表と「とにかく励まして欲しい」という旨が書いてあった。こういうところは,本当にみならう必要がある。
気功の恩恵
私の方は,根が無精なものでなかなか上達しませんが,それでもずいぶん気功のおかげで助かっています。異国の地で様々な事件(とは言っても,刑事事件ではありません)に巻き込まれながら,家族揃って元気でいられるのは,心身ともにリフレッシュする術を少しだけ身につけたからだと思います。
また,言葉が通じなくても選手やコーチたちの様子が感じ取れるのも,気功のおかげです。選手やコーチには心身ともにかなりのプレッシャーがかかっているので,私はなるべくそれをおさめるように心がけながら見守っています。トレーナー(たぶんドクターだと思います)が選手たちの健康管理をしているので,私は直接マッサージなどはしませんが,それでも時々選手が私のところへやってきてフィックスしてくれと言ってきたりします。
史上最悪の得失点差
前述の事件の中でもっとも大きなものは,昨年11月6日に私がインビテーションレターをもらったUCLAのヘッドコーチが突然大学から解雇されてしまったというものです。新人獲得をめぐってNCAAのルール違反があったというのが表向きの理由ですが,どうもアスレティック・デパートメントのディレクター(一番偉い人)とうまくいっていなかったらしいです。
後任のヘッドコーチに32才のアシスタントコーチが横滑りしたので,私は相変わらず練習と試合を見学することは許されています。ただ,状況が状況なだけに私に構っていられないというのが正直なところです。私自身も,それがよく分かるだけにしばらくの間はどれくらいの距離を保って接したらよいのかに非常に気を遣いました。最近はコーチ陣よりも選手たちとよく話をするようになりましたが,何しろ昨夜UCLAバスケットボール史上最悪の得失点差(48点差)でスタンフォード大に負けてしまったので,またしばらく混乱しそうです。
今年のUCLAのチームは前評判が高く全米でベスト4にランキングされていましたが,ヘッドコーチの解任事件以降チームがぼろぼろになってしまい,現在ランキングもなくなっています。昨夜のゲームで多くのファンの気持ちが離れてしまったように感じます。とにかく選手の能力はずば抜けているのですが,あまりにも新ヘッドコーチが若すぎるのです。私のように20才の時から全て自分に任されてやってきたのと違い,こちらのアシスタント・コーチは,あくまでアシスタントなので正直なところ経験不足です。選手たちが持っている力をせめて半分でも発揮できるようにしてやれば十分戦えるのですが,今は彼の頭の中に描いていた理想のチーム像が彼の頭の中だけで一人歩きしてしまい,選手たちが自分を見失ってしまう方向に向かっています。今までは何とか選手の能力でカバーしていましたが,昨日は完全に切れてしまいました。これを修復するのは相当なエネルギーを必要とします。少しでも役に立ちたいのですが,何しろあくまでアウトサイダーなので,念じる以外に為す術はありません。
スポーツの魅力
練習と試合を見学する以外は自由なので,英会話の勉強をしたり,一般の学生や教職員たちとピックアップゲーム(日本ではストリートバスケットと紹介されています)を楽しんでいます。英会話はほとんど上達していませんが,バスケットを通していろんな人と接することができるので,スポーツの持つ魅力をあらためて実感しています。
脱研究室(その2)
私は,通常の先生方のように大学の研究室ではなく,アスレティック・デパートメントの中のバスケットボール・オフィスに出入りしています。こちらのシステムは,ファカルティとアスレティック・デパートメントが完全に分かれています。ですから大学の研究室に出入りする外国人研究者とは全く扱いが違って微妙な立場にあるので,結構苦労させられています。まあ,バスケットボールの勉強ということなので,当然フィールドワークが中心になりますし,先生がよくご存じの通り,もともと研究室にこもっていられない方なのでかえって好都合です。
ビジネス社会
日本のようになんとなくいろんなことがあいまいのまま進んでいく社会とは違って,何でもビジネスになっているので,とても厳しい世界です。選手にもコーチにも計り知れないほどのプレッシャーがかかっているのがよくわかります。日本も少しずつそういう方向に向かおうとしているようですが,あまりにも気候風土や習慣が違いすぎます。