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ブルズvsレイカーズ戦の裏側(2/5/1997水)


 娘をピックアップして家に帰る途中,今日はブルズ対レイカーズの試合がフォーラムであることを思い出した。シカゴのMさんに連絡をとることと,ちなみに今日のチケットは2階席でいくらぐらいなのかをPトラベルのMさんに尋ねることを思いついた。まず,シカゴのMさんに連絡をとると今日はシャックが怪我をして出ないとのこと。しかも,レイカーズは昨日クリッパーズに負けているとの情報。Mさんはそれを予想して来なかったのだというが,実際はオールスター戦を目前にして忙しいらしい。MさんにUCLAの選手たちにいつかインタビューをしたいのだが誰か知り合いはいないかと尋ねるとLA在住のフリーのライターを何人か知っているとのこと。そろそろ本格的に調査項目を絞り込まなくてはいけない。

 次にPトラベルのMさんにH君たちがレイカーズの試合を良い席で見たいということを伝え,500ドルの席をお願いした。そして,今日のチケットは手にはいるかと尋ねると高いですよとの返事。5枚だとどれくらいですか?と聞くと自分の1ヶ月の給料分だと言う。ちなみに今日Pトラベルが扱っている日本人客は600人。バス17台で市内各地のホテルをピックアップしてフォーラムへ向かうという。そのうち5人が2000ドルの席だそうだ。2階席で2枚なら安くしますというのでいくらか尋ねると何と1席100ドルでよいとのこと。僕はOさんと行ったことがあるので妻に行って来ないかと言うが,息子が学校を休んでいるのにとの返事。そうこうしているうちにMさんが家族は何人ですか?と尋ねるので6人だが1人は赤ん坊なので5枚だというと,5枚そろえたら買いますか?とのこと。30分時間をくれというので,用意できないのではないかと思いながらも,何しろブルズ戦なのでお願いすることにした。

 しばらく待つが1時間経っても電話がかかってこない。息子たちを病院に連れていく時間になってしまったのでこちらから電話を入れるが,どこかと話し中で忙しいらしい。これは無理なのだろうと思いながら待っていると,何とOKだとの連絡が入った。車がないので今はチケットを取りに行けないことを話すと,6時30分頃までにダウンタウンに寄れば試合には間に合うとのこと。UCLAの練習が終わってから事務所に寄ってフォーラムへ向かうことにした。

 UCLAの練習は試合の前日ということもあって軽い練習であった。ちょうど昨夜コーチーズエッジというバスケットボールの選手の動きを再現するパソコンのソフトの動かし方を試していたところなので,今日のダミー・オフェンスは頭の中を整理するのに役にたった。昨日Dさんに話しておいた僕の履歴書をDさんに渡して簡単に説明をしたらDさんも全く僕の情報を知らなかったようで驚いていた。とくに僕が日本政府からお金が出ているという証明書はびっくりしたようで,すぐにSコーチのところに行ってその話しをしているようであった。Sコーチは学生コーチのK君とA君と何やらしきりに話しをしている時であった。そんなこともあってか,練習が終わった後に今日のブルズ戦を1席100ドルで見に行くと言ったら学生コーチのA君とK君は「クレイジーだ」と言っていた。そして,「おまえは金持ちだ」としきりに言うので,そんなことはないと言うが,おそらくさっきの証明書のことが頭にあってのことだろう。

 家に帰りすぐにPトラベルへ向かった。一番混む時間帯なのでフリーウェイではなくオリンピック通りで行った。電話で聞いていたがPトラベルは本当に何だか怪しいところにあった。通りには浮浪者がたくさんうろうろしている。入り口も鉄格子で覆われ,駐車場のゲートの上には鉄条網が張り巡らされていた。ブザーを押すと何とMさんが出てきて,すぐに駐車場のゲートを開けてくれた。Pトラベルの応接室には何とジョーダンのサイン入りのユニフォームが壁に掛かっていた。お客さんが送ってくれたらしい。Mさんとは電話でしかお話をしたことがなかったが,人当たりのよい笑顔の奥に苦労してここまでやってきた様子が伺えた。Pトラベルは15年ほど前から営業を開始し,10年ほど前にこの不動産を購入したとのこと。今は,日本のNBA人気に支えられて忙しい毎日を送っているようだが,厳しい仕事のようだ。

 Mさんにフォーラムへの行き方を教えてもらい,渋滞するフリーウェイに乗ってフォーラムへ向かった。本当に片側4車線が車でいっぱいになっている。東京の場合は2車線から1車線になってしまうので完全に止まってしまうが,こちらの場合は車線の数は減らないので完全に止まるということはない。それでもこれだけの車がゆっくり走らなければならないのだから,車の数は東京の数十倍だろう。

 7時半前にフォーラムへ着き人混みをかき分けて座席に着くことができた。2階席の21列目。うしろから5列目ぐらいのところだが,コートを斜めから見ることが出来て試合の様子は本当によく見えるところであった。すぐ前後の席にはブルズのファンの人がいたがそれ以外の周りの人はみんなレイカーズの応援である。特に同じ並びの右側に座っていた若者たちは上から下までレイカーズグッズで固めていて熱狂的にレイカーズを応援していた。息子は風邪をひいていたにも関わらず試合に熱中している様子。娘達は試合よりも応援や綿飴に興味があったが,比較的おとなしくしていた。試合はレイカーズリードでハーフタイムを迎えた。

 ハーフタイムに子供たち3人をトイレに連れて行こうとするがすごい人。そういえば17年前のフォーラムでもおしっこができなかったことを思い出した。男子トイレは一つ一つ区切りがなく押し合いへし合いでおしっこをするようになっている。これは17年前の通りであった。したがって落ち着いておしっこがしたい人はみんな大便用のところへ並ぶことになる。娘たちはそこでしかおしっこができないのでそこへ並ぶことになった。どこのトイレでもそうだが,本当にこちらの人は丁寧にトイレを使わない。いつも便座におしっこがいっぱいかかっているのである。ちょっと便座をあげておけば,汚すことはないのにそれができない人がたくさんいるのである。ゴミを散らかさないようにすることや公共の便所を綺麗に使おうということに関しては,日本の方が遥かに教育が行き届いている。