新ヘッドコーチへの想い(2/12/1997水)
・昨日,32才の臨時ヘッドコーチだった人が突然UCLAと4年契約を結び,めでたく正式なヘッドコーチとなりました。ニュースでも新聞でも大々的に取り扱われています。本人はかなり喜んでいる様子で自信を持ち始めているようにも見えますが,反面ビクビクしているようでもあります。
今日,アウェイゲームにバスで出発しましたが,見送った直後にバスが戻ってきて,彼が忘れ物をとりに体育館のロッカーへ走って行きました。その姿を見ていたのは僕だけですが,その時なぜだか僕には彼がすごく小さく見えました。
何とか力になれればとも思いますが,正直なところ聞く耳を持たない感じです。時々僕の感覚が間違っているのかもしれない,素直に喜ばなくてはいけないとも思ったりしますが,身体の方が受け付けません。彼もそのことを感じているのかあまり僕には近づきません。
なんだかどこかで破裂してしまうのではないかと思って心配です。本当に嫌なことが起こってしまうのではないかという気がします。こうして書きながら頭ではそんなことはないと考えたりするのですが,正直言って器が小さすぎます。やはり,ものごとには限度をいうものがあります。今回の決定はあまりにも度が過ぎます。
こんなことを書きながらも,もしかしたら,歴史に残る偉大なコーチなのかもしれない,少なくとも今年は勝って欲しい,と願っています。
明日の朝といっても今から3時間半後に家を出発しなければいけません。UCLAのアウェイゲーム(遠征)の様子を1度は見ておこうとアリゾナまで行きます。明日の夜アリゾナ大学と試合があって,翌日は移動日,そして次の日にアリゾナ・ステイト大学と試合があってロサンゼルスに帰ってきます。チームと行動をともにしたいと申し入れていたのですが,それは実現されず,結局自分で手配しました。そんなわけで,今日のところはこの辺で失礼します。
注)今までSコーチと記してきましたが,4年前の今日,正式なヘッドコーチに就任されたのでお名前を掲載させていただきます。本文中,彼に対する疑惑,あるいは不信感が表現されていますが,当時の状況を考えると私自身が非常に不安定な精神状態でしたので,適切さを欠いている部分もあります。しかし,当時の正直な気持ちですので,削除や変更することなしに,今後も掲載させていただきます。
シーズン終了後,彼にシーズン全体についてインタビューしました。当時,彼も私に対して少し警戒していた感じでしたが,そのインタビューを通して,やっとお互いに分かり合えることができました。彼はその後,毎年UCLAを全米ベスト16に進め,その実績が高く評価され今年度もヘッドコーチとして活躍されています。みなさん,是非,この奮戦記を通して彼が当時どんなに困難な状況に立たされていたのかを感じとって下さい。そして,現在の彼を応援してあげてください。よろしくお願いいたします。