学ぶべきこと(2/22/1997土)
午前10時から練習だというので9時40分頃にポーリー・パビリオンへ出かけるが,誰もフロアーにいない。また,時間が変更になったのかと思ったが,みんなロッカールームに控えていた。どうやら最初にいつものようにビデオを見たりミーティングをしたりするのだろう。
僕は,昨日の練習の帰りに突然「このまま練習と試合を見ているだけではダメだ」と感じた。どうしてそう思ったのか自分でもよく分からないが,とにかくこれ以上UCLAの練習をただ見ているだけでは,残りの4ヶ月を無駄にしてしまうような気がしたのである。思い切って英会話に専念しようかとも考えたが,現在の生活パターンから新たに英会話を増やすのはちょっと困難な気がした。かといって中学校や高校巡りをするにはちょっと材料がなさすぎる。幸い昨日,ライターのJさんと連絡がとれたので彼と話しをすることで何か新しい道が開けるかもしれない。
10時半頃になって選手が出てきてシューティングを始めた。僕は,昨日からちょっと遠いところから練習を見ているが,今日は低いところから練習を見ることにした。床に座って選手たちの足を動きだけを見るようにした。すると不思議なことに多くの選手がつま先立ちでプレイしているのである。一番顕著なのがCD選手。次に気になったのがTB選手である。彼らはシュートの動作の前もボールをもらってからも一度もかかとを床に着けないでジャンプする。こちらの選手はふくらはぎがそんなに太くない。そのかわり細い足首からキュっと筋肉が盛り上がっている。ジャンプ力の違いの秘密はこのあたりにあるのかもしれない。そんなことを考えながら練習を見ていたら,要するにUCLAが勝か負けるかとかスティーブ・ラビンコーチのコーチングがどうのこうのということにとらわれずに,いろんな角度から練習や試合を見ていれば,まだまだ学ぶべきことがたくさん眠っているような気がした。例の事件以降,どうしてもコーチング・テクニックやチームワークに目が向いていたような気がするが,それ以外にも見るべき点はまだまだある。
UCLAの練習を見ていたら,普段ゲームマネージメントで会場係をやっているお年寄りらしき何人かがやってきて,「練習は見れない」とのこと。どうやら今日の練習はクローズらしい。僕はコーチに許可をもらっている旨説明していると,近くにいたSさんが「彼は大丈夫だ」と言ってくれた。今まで練習がクローズされたことはなかったので,どんなすごい練習なのかと思ったが,結局今まで通りであった。
UCLAの練習が終了した後,どうやらデュークがやってくる気配である。デュークの練習がクローズのようだ。しばらく様子を見ていると,デュークの一行がやってきた。大人数である。UCLAの遠征の総人数は23名であるが,デュークは30人以上であった。スタッフの数が多いのである。UCLAのマネージャーにどうしていつもUCLAは応援団もいないし,選手も12名だけだし,スタッフも最低の人数なのかと尋ねるが,彼らも首をかしげるばかり。やはりアスレティック・デパートメントの姿勢なのだろう。メディアの人がコーチ・Kにインタビューをしている間,しばらく様子を見ていたが,選手たちは自分の準備を終えた選手からどんどんシューティングをはじめ,アシスタント・コーチがすぐにブレークダウンドリルを始めた。どうやらレギュラー以外の選手たちが主に取り組んでいるようである。ベースライン沿いには縄跳びが準備され,スタッフも準備に余念がない。正直なところカンサス大と同様,かなり鍛えられているという雰囲気であった。特にブレークダウンドリルのアシスタントコーチのアドバイスは本当に一人一人の細かいボールの動かし方にまで及び,きめの細かいものであった。レギュラー陣がテーピングのためか遅れてフロアーに姿を見せたが,シューズをはいている時にインタビューを受けていた。そうこうしている間もレギュラー以外はどんどん練習しているのである。無駄がない。結局,メディアの人たちもインタビューが終わると会場の外へ出なければならず,それに合わせて僕も外へでた。練習の全部は見れなかったが,僕には十分であった。やはり,UCLAだけを見ていてはいけない。