NCAAファイナル観戦(3/31/1997月)
朝からインディアナへ向かう準備をした。ちょうど9時頃に月刊バスケットボールの島本さんとNHKの人がMさんのお宅へ荷物をとりに来た。一行はNBAの試合観戦のためにシカゴに集合してレンタカーであちこちの試合を見て回ったとのこと。日本のバスケットボール人気に拍車をかけた「スラムダンク」の著者井上さんも今朝まで一緒だったらしい。井上さんは原稿書きを今朝の5時までやって,朝一番の飛行機でロスへ向かったとのこと。日本には月に1回は帰っているらしいが,ロス在住である。島本さんたちにファイナル4のチケットを見せると,ずいぶん昔に見に行ったことがあるらしく,ファイナル4はお祭りですよねと言っていた。確かにそんな気がする。PトラベルのMさんの話しでは,このチケットを使わずに持っていたら価値が出てくるということであったので,その話しを島本さんにすると「売ろうとすると価値が出てこないんですよ。これは大事なんだと宝物にしていると高く値がつきますよ。」とのこと。一瞬,このチケットを使うのをやめて,今夜の試合はダフ屋からチケットを購入して見ようかとも思ったが,先立つものがないので止めた。
一行は荷物を車に積み込みすぐに出発していった。僕らも荷物を車に詰め込み10時頃にMさんのお宅を出発した。彼女はいつまでも手を振ってくれていた。今日は快晴である。車の中が日差しで暑くなるのでクーラーを入れるぐらいであった。シカゴを抜けるのに80号がとんでもなく渋滞し,途中一般道路へ降りるが,同じような車がたくさんいて一般道路も渋滞した。途中,バーガーキングで昼食を摂り再び出発するが,65号に乗るのにずいぶん時間がかかってしまった。65号は空いていて順調であったが,結局,インディアナ時間の夕方4時ぐらいにレッドルーフインというモーテルにチェックインすることができた。ダウンタウンから車で30分ぐらいのところであるが,やはりイベント料金で通常の2倍の100ドルであった。ファイナルは夜の9時からなので妻と子どもたちを連れてファイナルで賑わうダウンタウンの様子を見に行った。車を駐車すると10ドルぐらいかかるので車の中から街の様子を見て回ることにし,再びホテルへ向かった。途中ピザをテイクアウトし,ホテルで夕食を摂った後,僕は一人で再びダウンタウンへ向かった。RCAドームの近くの駐車場は10ドルするのでそこから歩いて5分ほど離れたところに4ドルで駐車した。ドームの入り口には,いったいどこからこんなに人が湧いてくるのだろうと思うぐらいいつまでもいつまでも人が集まってくる。中へ入ると本当にたくさんの人たちがひしめいていた。会場の周りをぐるっと1周するように歩いていると,ちょうどスティーブ・ラビンコーチがサインを求められていた。そこで,彼に挨拶をした。彼はもはやスターである。
僕の席はローレベルではあったが,コーナーのところでずいぶんコートから遠く感じた。ドームはアメリカンフットボールの会場でもありバスケットコートを中心に据えるには広すぎる。そこでバスケットボールコートがフットボールコートのエンドラインあたりに作られ,フットボールコートの上に臨時の観客席が作られるのである。したがってドームの1/3ぐらいの席はその臨時の観客席に遮られてバスケットボールコートが見えない。そのエリアの席は最初から立ち入り禁止になっている。だいたい6万人が入れる会場だが,おそらく4万人ぐらいが見に来ているのだろう。会場にはアリゾナの応援の赤い服を着た人とケンタッキーの応援の青と白の服を着た人が固まっている席がある。両チームに割り当てられた席なのだろう。2階席や3階席は両方の応援が入り乱れている。僕の周りはケンタッキーの応援の人が多かったが,アリゾナを応援している人もいた。
試合は両チームともディフェンスをよく頑張って好ゲームとなった。残り3分ぐらいから観客は総立ちである。何と延長戦に入った。観客は本当に好ゲームとなったことを喜んでいる様子。延長戦に入るとアリゾナがリードし始め,ケンタッキーの3ポイントがなかなか入らない。ほぼアリゾナの勝利が見え始めた頃に,ケンタッキーの応援をしている人たちは帰り始めた。僕の後ろで一生懸命ケンタッキーを応援していた少年はみんなが立って応援しているにも関わらず,野球帽を深くかぶって座り込んでいた。彼は試合の間中,スコアを付けて応援していた。こんな小さな時からスコアを付けながら観戦し,試合がほぼ見えてきた時にはすでに座り込んでしまっていたのである。こういうことを小さな時から続けているからこそ,選手になってからも勝負どころも分かるしゲーム運びもうまくなるのだろう。日本のレベルをあげるにはやはり小さな時から好ゲームをたくさん見せなくてはいけない。