強気の弱点(5/1/1997木)
昨夜,Tという人から電話があり,4バンドラジオが欲しいとのこと。明日ニジヤの前で待ち合わせることになった。何度も電話をかけてきているのできっと欲しいに違いない。タダであげてもよいぐらいだが,一応20ドルぐらいで売れたらよいと考えていた。11時過ぎに電話があり,ニジヤの前で待っているとのこと。そこで聡を連れてラジオを見せるとやはり気に入った様子。ところが値段の話しになると突然強行になってきて,とにかく10ドルでないと買わないという。別に10ドルでも構わないのだが,少し粘ってみたら,何と彼は一番最初にこのラジオが欲しいと電話してきた人物であることがわかった。僕は公園で待ちぼうけを食らったことがある。売るのを止めようかと思ったが,「金の切れ目が縁の切れ目」でとにかく彼との縁を断ち切るために10ドルで売ることにした。バスケットでもそうだがとにかく強そうに見せることで優位にたつということが,当たり前になっている。しかし,そうすると売った方も気分が悪いし,買った方もそんなに良い気分ではないに違いない。そういうことが次につながるかつながらないかに影響するだろうし,日本の製品やアフターサービスの充実ぶりが,貿易黒字を生み出しているのは当然のことだろう。結局,お互いに気持ちよく商売をするという感覚が日本の高度経済成長の一翼を担っていたに違いない。大切な「心」だと思うし,そういう感覚は日本の教育でなければ育たないのだろう。本当に「教育」というのは,あらゆることに影響すると思った。